COLUMN 技能実習生を受け入れるまでの流れ

技能実習生を受け入れるまでの流れ

2025.06.13

外国人技能実習制度の活用は一般的な求人活動のように面接して合否・勤務開始のような流れとは異なるため、初めて制度を活用する企業にとって流れがわかりにくいという声をいただきます。

ここでは外国人技能実習制度を活用してどのような流れで配属となるのかをご紹介していきます。
なお、本記事で扱う技能実習制度はすべて「団体監理型」をベースにしたものとなっています。

[全体の流れ]

Step1ご相談を経て契約

スタートは受入を希望する企業から技能実習に関する相談を受けている機関または監理団体への相談から始まります。監理団体は外国人技能実習機構のウェブサイトに正式に許可された監理団体が一覧で掲載されています。
この中から監理団体をお調べになる方法や、その他当団体のような外国人材に関する相談業務を専門におこなっている公益法人にお問い合わせいただく、といった方法があります。

ご相談の際には以下の2点について主に確認されることとなります。

1. 技能実習生を受け入れ可能な職種かどうか
2. 何人の技能実習生を受け入れたいか

技能実習生を受け入れ可能な職種かどうか

技能実習制度は「1号・2号・3号」と分類されており実習期間で区分され在留期間が異なります。
1号を1年目、2号を2年目~3年目、3号が4年目~5年目となりますが、1号から2号に移行できるのは定められた職種のみとなっています。この職書を「移行対象職種・作業」といいます。

2025年3月7日時点で91の職種・168の作業が対象となっており、技能実習生を受け入れる際はこの中に該当する職種・作業があるかどうかを確認します。

技能実習2号 2年以内(実習2~3年目) 移行対象職種のみ。2025年3月7日時点で
1. 農業・林業関係(3職種7作業)
2. 漁業関係(2職種10作業)
3. 建設関係(22職種33作業)
4. 食品製造関係(11職種19作業)
5. 繊維・衣服関係(13職種22作業)
6. 機械・金属関係(17職種34作業)
7. その他(21職種38作業)

何人の技能実習生を受け入れたいか

外国人技能実習法で受け入れ可能な人数が定められており、その人数は以下のようになっています。

【技能実習生(1号)を初めて受け入れる場合の可能人数】
・常勤従業員数(雇用保険被保険者数)が30人以下の場合、3人まで
・常勤従業員数(雇用保険被保険者数)が31~40人の場合、4人まで
・常勤従業員数(雇用保険被保険者数)が41~50人の場合、5人まで
・常勤従業員数(雇用保険被保険者数)が51~100人の場合、6人まで
・常勤従業員数(雇用保険被保険者数)が101~200人の場合、10人まで
・常勤従業員数(雇用保険被保険者数)が201~300人の場合、15人まで
・常勤従業員数(雇用保険被保険者数)が301人以上の場合、従業員数の1/20まで

この【技能実習生(1号)を初めて受け入れる場合の可能人数】は「基本人数枠」と言われ、制度を活用して以降有料認定を受けた場合などに受け入れ可能な人数枠は拡大します。

上限となる人数は決まっており、ここで受入企業は監理団体と「何人の技能実習生を受け入れたいか」を「どういった計画で技能実習生を受け入れていくか」にプランニングしていき年単位で技能実習生の受け入れ計画を立てていきます。

この相談では監理団体から受入企業の確認だけでなく監理団体からかかる費用の説明もあり、これらすべて適合・合意しましたら契約する運びとなります。

監理団体から送り出し機関へ求人を依頼

受入企業⇔監理団体間で契約を締結すると監理団体⇒送り出し機関へ技能実習生募集を通知し、求人を依頼します。この募集に際し「雇用契約書」「雇用条件書」といった技能実習生の雇用条件をご提出いただきます。
また、会社の情報がよくわかるような紹介ムービーや説明資料なども合わせて提出することでミスマッチを減らすことにつながります。

この後、技能実習生と面接するための資料など作成いただくのも良い取り組みになります。

送り出し機関による技能実習生候補の選考

送り出し機関は監理団体から受け取った資料を元に条件に合う技能実習生候補を選考します。
この次のステップで選考された技能実習生候補と受入企業は面接をする運びとなります。

Step2面接・内定

従来は現地へ渡航して顔を合わせて面接する受け入れ企業の方が多い傾向にありましたが、コロナ禍以降はオンラインでの面接が主流になっています。

面接の形式はグループで実施する場合や個々で実施する場合など、送り出し機関の方針やスケジュールの都合、面接人数などその時々によって異なります。

各受け入れ企業によって独自の面接スタイルがあり様々な質問や確認事項などがあると思いますが、初めて外国人技能実習制度を活用される際は文化の違い等による望ましくない質問事項がないかなど、事前に監理団体に相談しておくことを推奨します。

実習実施者は面接日に内定者を決定することを求められることが多いです。技能実習生候補は入国までに日本語講習等の入国前講習を受講します。

Step3書類準備・計画作成

送り出し機関や監理団体によっては予め日本語能力の高い技能実習生候補を要望・選考している場合や、現地で日本語教育に精力的に取り組んでいる監理団体もあり、すぐに日本の環境に順応できるようなプログラムを組まれている場合もあります。

外国人技能実習生の受け入れにトラブルを減らすには日本語能力が非常に重要で、ここに重点的に取り組んでいる監理団体や送り出し機関と契約することが重要です。

内定後、受け入れ企業は監理団体のサポートの下、技能実習計画の策定及び申請を実施します。この実習計画が認定されると出入国管理局へ在留資格認定申請を行います。
審査期間は2か月ほどを予定し、許可が下りると技能実習生はビザの取得手続きをおこないます。

社内の押印手続きや期間に独自の手続きがある場合、入国時期にも関わるので予め各所の共有の上スケジュールを立てて進めていくことがトラブルを回避するために必要です。

寮等 受入準備~入国

技能実習生が入国となる前にその受け入れ準備をおこない、体制を整えておく必要があります。
技能実習計画策定時に選任した「技能実習責任者」は講習を受講し修了する必要があります。

また、会社としては寮・社宅を用意する必要があります。
監理団体毎にプラスアルファで求める内容がある場合もありますが技能実習法関係省令で「技能実習生のための適切な宿泊施設を確保」することが規定されています。
技能実習制度 運用要領(全体版p.104~106 PDFではp.113~115)では以下のように記載されています。

1.危険性が想定される場所を避ける
宿泊施設を確保する場所は、爆発物、可燃性ガス等の火災による危険の大きい物を取扱い・貯蔵する場所の付近、高熱・ガス・蒸気・粉じんの発散等衛生上有害な作業場の付近、騒音・振動の著しい場所、雪崩・土砂崩壊のおそれのある場所、湿潤な場所、出水時浸水のおそれのある場所、伝染病患者収容所建物及び病原体によって汚染のおそれの著しいものを取り扱う場所の付近を避ける措置を講じていること

2.非常時の経路
2階以上の寝室に寄宿する建物には、容易に屋外の安全な場所に通ずる階段を 2箇所以上(収容人数 15 人未満は1箇所)設ける措置を講じていること

3.消火設備とその設備の監理
適当かつ十分な消火設備を火災が発生した際に機能するよう実効性のある場所 に設置しており、日頃から点検して適正な維持管理のための措置を講じていること

4.スペースとプライバシーの確保
寝室については、床の間・押入等、技能実習生が実際に使用できないスペースを除き、1人当たり4.5㎡以上を確保することとし、個人別の私有物収納設備、室面 積の7分の1以上の有効採光面積を有する窓、その他の社会通念上生活に必要な 採暖・冷房設備等を設ける措置を講じていること
※「私有物収納設備」については、プライバシーの確保や盗難防止の観点から、 身の回りの品を収納できる一定の容量があり、かつ、施錠可能で持出不可なもの であることが必要です(個人別に施錠可能な部屋である場合を除く。)。技能実習 生の私物であるスーツケースを私有物収納設備として利用しているケースがありますが、私有物収納設備の設置はあくまでも実習実施者の責任において行われ るものであり、このような私物の利用では私有物収納設備を設ける措置を講じて いるとは認められません。
「施錠可能」について、収納設備に施錠機能がない場合には、南京錠やチェー ンロックなどにより施錠機能を施してください。 また、「持出不可」について、収納設備が建物に備え付けられていない場合、 防犯ワイヤー等で建物に固定してください。 単に押し入れの中を技能実習生ごとに区分けしたり、個人ごとの収納ボックスを 付与したのみでは、私有物収納設備とは認められません。 なお、鍵については、当該私有物収納設備等を使用する技能実習生自身に 管理させなければなりません。

※添付の宿泊施設の見取り図において、寝室については床の間・押入等、技能実 習生が実際に使用できないスペースを除き、1人当たり4.5㎡以上を確保している ことを明示する必要があります。 具体的には、太枠で囲む・斜線を記載するなどにより、見取り図内のどの部分を使用するか分かるようにした上で、面積の算出根拠(見取り図内に居室の各辺の長さ を記載する、空白部分に計算式を記載する等)を記載してください。

5.安眠環境の確保
就眠時間を異にする2組以上の技能実習生がいる場合は、寝室を別にする措置 を講じていること

6. 衛生環境の確保
食堂又は炊事場を設ける場合は、照明・換気を十分に行い、食器・炊事用器具を 清潔に保管し、ハエその他の昆虫・ネズミ等の害を防ぐための措置を講じていること

7.衛生設備の確保
他に利用し得るトイレ、洗面所、洗濯場、浴場(脱衣室を含む。)のない場合には、 当該施設を設けることとし、施設内を清潔にする措置を講じていること(各施設は一 般的な機能を有する設備を設け、浴場は保温性を維持し、必要に応じ、プライバシーが守られるよう十分に配慮していること)

8.事業の附属寄宿舎
宿泊施設が労働基準法第10章に規定する「事業の附属寄宿舎」に該当する場合は、同章で定められた寄宿舎規則の届出等を行っており、又は速やかに行うこととしていること

9.共用部の衛生管理
宿泊施設内の共用部分については、必要に応じ、消毒するなどの衛生管理を行い、感染症の発生及びまん延防止のための措置を講じていること

入国後講習

技能実習生が入国すると監理団体によって入国後講習が実施されます。
母国で日本語を勉強してきた技能実習生は、改めて日本語を現地で「聞く」「理解する」ことができるよう学びます。
また、生活ルールや習慣、安全教育、在留カードの取り扱いなど日本での基本的な過ごし方についても学びます。

Step4配属・実習開始

用意した寮に入居いただくにあたって転入手続きや住民票の取得、銀行口座開設など必要な手続きを監理団体のサポートとともにおこない、実習開始可能な手続きを経て配属となります。
ここまでの手順を経て実習開始となります。

以上が一般的な団体監理型の技能実習生受け入れ手順となります。
一般的な求人に比べて期間が長く、手続きも多いかと思いますがその多くは協力関係にある監理団体とともに進めていくことができます。

重要なことは監理団体に丸投げせず、制度の説明を受けながら協力関係で進めていくことが最も大きいポイントです。細かいことを全て監理団体に丸投げしたことで受け入れ企業がその主旨やルールを逸脱し、違反して罰則を受ける例が過去多くあります。

外国人材相談センターでは受け入れるに際して受入企業が必要になる様々なポイントで助言をすることが可能です。これから制度を活用される際には一度ご相談くださいませ