日給月給でも技能実習生に残業代を支払わないといけませんか?
当センターへ、技能実習生から残業代の支給を求められたとおっしゃる建設業の事業者よりどうすればいいのか、「日給月給制だし、支払う必要はないのでは」とのことでご相談来られました。
落ち着いてください。
少し確認させてください。
元々説明してたというのはどのようなことですか?
いや、「うちは日給月給で給料出してるから何時間働いても同じ給料だよ」って伝えてたんですよ。
他の従業員もそうだし。
なるほどかしこまりました。
日本人の従業員と同様に一日の労働時間に関わらず給料は定額、と事前に伝えていたが技能実習生から残業代の支払いを求められたということですね。
そうです。
全員で結託して法律のこととか言ってきました。
昨今は技能実習生もSNS等で同じ国のコミュニティに参加していたりして色々な情報に触れることができますからね。
で、どうなんですか?
どれくらいの労働時間があったのかなど勤務実態から教えていただけますか?
朝9時から晩の18時とかですが、20時くらいまでやってる時はありました。
お伝えしたように日給月給制なので何時間働いたかなどはとっていません。
なるほど。
法律上は労働基準法が適用されますので法定労働時間(一日8時間、及び週40時間)以上の勤務は認められていません。これを超えて労働してもらうためには労使協定(36協定)を結ぶ必要があります。
労働基準法第三十六条 (時間外及び休日の労働)
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使用者は、当該事業場に、労働者の過半数で組織する労働組合がある場合においてはその労働組合、労働者の過半数で組織する労働組合がない場合においては労働者の過半数を代表する者との書面による協定をし、厚生労働省令で定めるところによりこれを行政官庁に届け出た場合においては、第三十二条から第三十二条の五まで若しくは第四十条の労働時間(以下この条において「労働時間」という。)又は前条の休日(以下この条において「休日」という。)に関する規定にかかわらず、その協定で定めるところによって労働時間を延長し、又は休日に労働させることができる。
ちょっとよくわからないのですが。。。
ええ。
ただ、こういった法律上の前に実習生を受け入れる時に雇用契約書を作成されたと思いますがその中で労働時間や賃金等の条件はどのようなものでしたか?
その辺の難しそうな書類は監理団体に任せました。届いた書類に印鑑だけ押せばいいって言われたので…
なるほど。それはかなりまずいですね。
確かに監理団体が書類の作成を手伝うことはあります。ただ、大事なのは技能実習計画は御社が作成して提出するものなんです。その書類を確認もせずに印鑑だけ押すなんてことは絶対にしてはいけません。
そうなんですね。
どうやら監理団体とのお付き合いも考えられた方がよいかもしれませんね。
少し話がそれましたが本題に戻りましょう。
はい。
日給月給で給料を支払っている場合でも雇用条件書の労働時間を超えて働く場合は残業代の支払いは必要になります。
さらに技能実習生の場合は原則として残業は認められておらず、労使協定の締結を前提として以下の要件を満たす必要があります。
・労働関係法令を遵守して行うものであること
・技能等の修得等の活動の一環として行われるものであること
・技能実習生に対する技能等の修得等に係る指導が可能な体制が構築されていること
を満たす場合は例外として時間外労働させることができる、というものです。
出入国管理庁:技能実習生の時間外労働等の取扱い
払わないといけないってことですか?
実態として残業であればそうなるかと思います。
お付き合いのある社労士さんがいらっしゃればそちらにもご相談されるとよいかと思います。
まじですか。
ええ。
もしN社様がこれから法令やルールを守って技能実習制度を活用していきたいと思われているなら、監理団体の変更をおすすめしますしサポートいたします。
色んなことがわかってないんですけどちゃんとしたいんです。
ひとつひとつ対応していきましょう。
結局、N社様は技能実習生との和解に向け、当センターとは監理団体の変更に向けて動き出されました。
昨今はネット上に同郷のコミュニティがあったりすることで技能実習生も情報を多く得ることができます。
杜撰なことをしていた場合には改善の対応を迫られることもあることでしょう。
また、そうした事態にならないようにするのが監理団体の役割でもありますが
そうした役割を放棄する監理団体もあると聞くことがあります。
そのような場合には当センターのような機関にご相談ください。
技能実習生から残業代を払ってくれって言われたんです。
元々説明してたんですがこれって払わないといけないんですか?