団体監理型外国人技能実習制度の仕組み
技能実習制度にはふたつの受け入れ方法があり、「企業単独型」という海外に現地法人や合弁会社を持つ企業が日本国内に技能実習生を受け入れて実習を実施するタイプと、「団体監理型」という非営利の監理団体が技能実習生を受け入れ、指導先の企業で実習を実施するタイプに分かれます。
2023年末時点では技能実習での在留者の98.3%が団体監理型で受け入れられており、技能実習制度の大多数は監理団体を介する形で運用されています。ここでは団体監理型の技能実習制度の仕組みを紹介します。

上図のように関係者は受入企業と技能実習生、監理団体の他、「送り出し機関」、「機構(外国人技能実習機構)」と「入国管理局」があり、6者で手続を進めます。
送り出し機関とは
送り出し機関は海外現地で技能実習生を求人し、講習をおこなった上で送り出す海外現地の団体のことになります。この送り出し機関はその国の公的機関から推薦を受けていることが技能実習法の「規則第25条」で定められており、正体不明な存在ではありません。
機構(外国人技能実習機構)とは
法務省と厚生労働省が所管する認可法人で、外国人の技能実習の適正な実施と技能実習生の保護を目的としています。受入企業から提出された技能実習計画を認定業務の他、監理団体からの申請の受理・許可に関する調査をおこなっています。

団体監理型の技能実習を受入企業から見ると技能実習生を探すことや技能実習生の入国手続き、在留許可申請といった業務が無くなり、技能実習計画の策定についても監理団体からサポートを受けながら進めていけるメリットがあります。
受け入れにかかる費用
継続してかかる費用と初期費用を分けて紹介します。
・技能実習生の給与を含む人件費
├ 給与・交通費等
├ 各種手当
├ 社宅
└ 法定福利費等
・監理団体への監査指導費
├ 在留資格の更新にかかる費用
└ 監査に要する人件費・交通費
・職業紹介費
└ 外国の送出機関へ支払う費用
技能実習生の給与を含む人件費については日本の労働基準法が適用される賃金の支払いとなりますので受入企業の給与体系によって変動するものとなります。他、監理団体への監査指導費や職業紹介費については監理団体により異なる部分となります。
技能実習生ひとり当たり3万円~5万円ほどとなるケースがよく見受けられるようです。
この点は外国の送出機関にかかる費用の変動や訪問監査するにあたっての物理的な距離、移動コストにもよって変わってくるポイントでもありますのであまりにも安い場合、「法令遵守できる水準にない価格」である可能性も考慮して当団体のような機関に適性な水準か尋ねてみるとよいかと思います。
こちらのページに記載のように、監理団体は過去7年間で49の事業者が許可取り消しとなっており、その中で最も多い理由は「実習実施者に対する監査・訪問・指導の不実施」となっていました。契約した監理団体が許可取り消しの事態に陥ると、技能実習生の受け入れが停止または取り消される可能性があり、その場合は受入企業にも、技能実習生にも影響が及びます。
初期費用
「入国前」「入国後」にかかる費用に分けるとわかりやすく、次のような費用が発生します。
・技能実習生の募集・選考費
・健康診断費用
・入国前講習料
・技能実習生渡航に要する費用
・在留資格認定証明書 交付申請費用
・入国後講習料
・健康診断費用
・技能検定費用
・技能実習生総合保険料
・社宅準備費
・受入企業からの相談、支援に要する費用
・その他技能実習生の移動交通費
以上が外国人技能実習生受け入れ時に定められた必要な費用で、その他任意で国際人材協力機構(JITCO)への入会などが発生する場合もあります。海外現地で技能実習生と面談するか、それとも面談をオンラインで済ませるかといった点や、社宅に関する準備部分によって技能実習生を受け入れるまでの費用は大きく異なりますがひとり当たり50万円~150万円ほどを目安にしていただくといいかと思います。
昨今の日本人の採用単価は業種業界によって異なりますがひとりあたり約100万円と言われています。
受入企業にとっては自社の採用単価と比較できるポイントかと言えるでしょう。
大きく判別しやすい点としては「入国前講習で実施される日本語教育の質」に差が出ることが多く見受けられます。
具体的には「入国前の日本語教育にきちんと力を入れている監理団体の場合は講習費が高く、日本語で会話ができる勤勉な技能実習生の受け入れにつながりやすい」というところにつながってくると、当センターは考えています。
至極当然の話かもしれませんが、真面目に日本語教育に取り組んでいる機関・監理団体の講習を修了した外国人技能実習は勤勉で日本語能力も高いことが多く、受入後に問題を起こすこともとても少ないです。
受入企業にとって費用の妥当性や対価の質についてはわかりにくく、評価しづらい点かと思います。
「日本語能力の高い技能実習生を受け入れたい」
「真面目で勤勉な技能実習生を受け入れたい」
そうお考えの上で技能実習制度の活用を検討されている企業様におかれましては一度ご相談ください。