CASE

できるだけ安い労働力として
外国人技能実習制度を利用したい。

ご相談内容
業種:建設業

知り合いの会社から「今の内」と言われ、できるだけ安い労働力として外国人技能実習制度を利用したい。

当センターへ、「安い労働力」を求めて外国人技能実習制度を利用したいとお申し出がありました。結論から言えばそのような目的で制度を利用することはやめるよう申し伝えました。

L社ご担当者様

外国人技能実習制度を利用したいんで、相談にのってもらえますか?

天満

もちろんです。ご相談ありがとうございます。
どのような事業をされておられるのですか?

L社ご担当者様

建設業です。

天満

なるほど。
差し支えなければどのような職種でしょうか?

L社ご担当者様

土木から鳶から色々ですね。

天満

ありがとうございます。
技能実習制度では色んな職種がありますので当てはまる職種を教えてください。

技能実習制度の職種・作業に関する資料をお見せしながら
ヒアリングしました。

L社ご担当者様

当てはまるものがあってよかったです。

天満

これでしたら技能実習生を受け入れていただけますね。

L社ご担当者様

そうなんですね。
採用できたら3年間は人材面で安心だな。

天満

安心、と言いますと?

L社ご担当者様

転職とかできないんですよね?
そうすると離職率が当然低いから日本人より安心かなと、そういう意味です。

天満

確かに今現在の技能実習制度では転職は原則認められていません。
ちなみに技能実習生にどれくらいの日本語能力を求められるか、希望はございますか?

L社ご担当者様

日本語能力ですか。
そうですね~、、、特にないですね。

天満

特にないとおっしゃいますと、ほとんど日本語ができなくても問題ないという意味でしょうか?

L社ご担当者様

ええ、軽作業なので。
最初につくるマニュアルを現地の言葉で作成したら大丈夫かなと思っています。

天満

なるほど。
ちなみに技能実習制度にはどのようなことを期待されていらっしゃいますか?

L社ご担当者様

いや、今度技能実習って無くなるらしいじゃないですか。
それで「今の内だぞ」みたいなことを知り合いの会社から聞いてね。

天満

そのお知り合いの方が言う「今の内」というのはどういうことを言っておられましたか?

L社ご担当者様

まぁ最近最低賃金も上がって日本人の求人って結構難しいんですよ。
求人しても反応鈍いし。
その知り合いもほぼ同業なんですけどね。
結構簡単に安く人材確保できたような感じで言ってたんで。

天満

なるほど、少し技能実習制度について誤解があるようですのでご説明させていただきますね。

L社ご担当者様

え?

天満

技能実習制度というのはその名の通り技能を学びに来るわけですが、日本人と同じように労働基準法が適用されますし、最低賃金も同じです。

L社ご担当者様

はい。

天満

少なからず人材不足に対応する形で制度が運用されている現状があるのは聞いたことがありますがあくまでも技能実習は実習生に技能を身に付けていただき、母国で活かしていただくのが主旨となっています。

L社ご担当者様

はい。

天満

現在の技能実習制度はここ数年、「奴隷労働的な扱いだ」と世界からも批判を受け、ニュースにも取り上げられてきました。

外務省資料:技能実習制度に対する国際的な指摘について


日本は2018年、2019年にTier1に位置付けられていたが
2020年、2021年はTier2となりました。その勧告事項として

②外国人労働者の人身取引被害者が認知され、保護支援を受けられるよう
関係省庁間で手続を策定し、体系化し、実施すべき。
⑥技能実習制度下での人身取引被害者の認知のための技能実習法における監督・執行措置の実施を強化すべき。
⑩外国人労働者に課される雇用あっせん・サービス手数料を廃止し、
借金による抑圧や強制行為への脆弱性を減ずるべき。

といった事項が指摘されました。
技能実習制度そのものが悪いとされているわけではなく、
制度が悪用されていることが問題であると指摘されています。

L社ご担当者様

はい。

天満

こういった問題の背景にあるのはうまくコミュニケーションがとれないことや、外国人をただの労働力としてしか見ていない日本側の一部の受け入れ企業によって起こったものとされています。

今お話しを伺った限り御社のようなお考えで外国人技能実習生を採用していくと御社にとっても実習生にとっても良い結果にならないと思われます。

L社ご担当者様

なんかややこしいですね。
もういいです!

L社さまのご相談は以上で終了いたしました。

今回は残念なご相談となってしまいましたが、私たち相談センターと真っ当な制度の利用を
推進していく立場にあるのでこういった単純な労働力を要求される
ご相談に対しては受け入れることができません。

かなり端折った部分はありますが、外国人技能実習制度を誤解しておられる方はいらっしゃいますし、
悪質な技能実習監理団体が「安価に人材確保」を勧めてこられる場合もあります。

実態として技能実習制度が人材確保の手段として活用されていると言われていますが、
原則転職できないことを拘束期間のように捉えたり、技能実習生自身に制度の知識が不足していることや
日本語能力の不足を利用して労働基準法や技能実習法に違反するような労働をさせる、
といったことが問題視されて技能実習制度は改正されることになったわけです。

しかし、本来の目的に沿って技能実習制度を活用されたい企業様からのご相談はどんどん受け付けております。
お気軽にご相談ください。