平成25年 | 平成26年 | 平成27年 | 平成28年 | 平成29年 | 平成30年 | 令和元年 | 令和2年 | 令和3年 | |
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技能実習生 | 136,608 | 145,426 | 168,296 | 211,108 | 257,788 | 308,489 | 383,978 | 402,356 | 351,788 |
失踪者 | 3,566 | 4,847 | 5,803 | 5,058 | 7,089 | 9,052 | 8,796 | 5,885 | 7,167 |
2024年3月15日、外国人技能実習の廃止と育成就労の新設を含む出入国管理法の改正案が
閣議決定され、2024年5月現在、国会で審議されています。
2024年6月14日改正出入国管理法が可決しました。
ここでは外国人技能実習制度と育成就労制度の違いを見ていきます。
違い1制度の主目的
技能実習制度は「日本の技能や技術、知識を開発途上国へ移転し、その地域の経済発展に寄与することを目的」とした制度ですが育成就労制度は「特定技能1号水準の技能を有する人材を育成するとともに、当該分野における人材を確保することを目的とする。」とあります。
途上国への貢献といった部分が無くなり、日本国内の人材確保が主な目的とシフトされています。
違い2在留期間
技能実習制度は『技能実習1号(1年)→技能実習2号(2年)→技能実習3号(2年)』と最長5年間の在留期間がありますが技能実習2号→3号への移行時に一時帰国が要件(※)にあることや監理団体と受け入れ企業(以下、実習実施者)が技能実習3号の監理及び受け入れが可能な許可を保持しているかといった要件があります。
一方育成就労制度は原則3年とされており、特定技能1号への移行へつなげていくものとされています。
- コロナの影響で必ずこの期間でなくてもよくなっている。
この時期か3号技能実習生になってから1年以内に1か月以上帰国することでもよい。
違い3受け入れ時の条件
技能実習制度では受け入れ時、配属されるまでに入国後講習が必要です。
ただし、入国前の6か月以内に1か月以上かけて160時間以上の講習を行った場合は、入国後講習の期間を短縮することができます。
この講習に多額の費用をかけた上で日本へ来る技能実習生は少なくありません。
さらに日本で行う技能実習の職種を母国で経験しているか、学校等でその職種の勉強をしているか、という前職要件があります。日本語能力については介護のみN4が必要とされており、介護以外の職種に日本語能力に対する要件はありません。
一方、育成就労制度は前職要件はなく受け入れる段階でN5レベルの日本語能力を有していることが条件とされる予定です。日本語能力試験でもっともやさしいレベルの試験でひらがなやカタカナ、簡単な感じの読み書きができるくらいの試験になります。
違い4受け入れ後の移行条件
技能実習制度は1号→2号への移行時に技能検定基礎級等に合格する必要があり、3号への移行時に技能検定3級等合格する必要があります。
一方、育成就労制度は受け入れ後一年以内(技能実習1号相当)に技能検定基礎級等に合格する必要があり、三年の育成就労を終えて特定技能1号へ移行する時には技能検定3号等もしくは特定技能1号評価試験に合格し、N4レベルの日本語能力を保持している必要があります。
違い5転職・職場変更
技能実習制度では受け入れ先の企業で技能を習得することを条件に在留が認められるため、転職に相当する受け入れ企業の変更はできません。そのため、劣悪な環境下で働く技能実習生の失踪が多分にあったことは想像に難くありません。
一方、育成就労制度では条件を満たした場合に転籍(受け入れ企業の変更)が可能であるとされています。
その条件は
- 転籍前の企業での就労期間が1年以上であること
- N5以上の日本語能力試験と技能検定基礎級にも合格していること
- 転籍先が適切であると認められる要件を満たすこと
とされています。
違い6サポートする団体
技能実習制度では「監理団体」と呼ばれる外国人技能実習生を受け入れや受け入れ企業へのサポートをおこなう団体組織があります。実務としては外国人技能実習生の送り出し機関との調整や受け入れ企業の間に入って手続きや面接のサポート、管理監督指導的な業務をおこなう支援機関です。
育成就労制度では監理団体に代わって「監理支援機関」となります。
監理支援機関は外部監査人の設置が必要で、受け入れ機関と密接な関係を持つ職員は受け入れ機関と関わる業務にはタッチできないこととされています。
違い7職種
技能実習では88職種161作業が受け入れ対象職種でしたが、特定技能への移行にミスマッチがあり同じ職で移行できない問題がありましたが育成就労制度では特定技能1号の職種に準ずるものとされています。
違いの比較表
技能実習制度 | 育成就労制度 | |
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制度の目的 | 技術の移転・途上国の経済発展 | 人材確保と人材育成 |
在留期間 | 3年から最長5年 | 3年 |
受け入れ時の条件 | 入国後講習および前職要件 介護のみ日本語能力N4 |
日本語能力N5 |
受け入れ後の移行条件 (3年後) |
同職種であれば無試験で特定技能1号へ移行が可能。 特定技能にない職種であれば技能実習3号への移行 |
特定技能へ移行時 ・N4レベルの日本語能力。 ・技能検定3級等もしくは特定技能1号評価試験 上記への合格が必須 |
転職・職場変更 | できない | 条件を満たした場合可能 |
サポートする団体 | 監理団体 | 監理支援機関 |
職種 | 88職種161作業 | 特定技能1号に準ずる |
所感
日本語能力の要件は就労開始前の段階で「日本語能力A1相当以上の試験(日本語能力試験N5等)合格又は相当する日本語講習を認定日本語教育機関等において受講」とされています。
つまり「ひらがなやカタカナ、簡単な読み書きができるくらいの試験」に合格するか
または認定を受けた日本語教室でそれに相当する講習を受講するか、ということになります。
当センターは以前より外国人技能実習生の失踪や犯罪の大元の原因は「日本語を話せない実習生が事業主とのコミュニケーションを取れないことにある」と申し上げてきました。
そのため、入国時の要件として日本語能力N5は不足であると考えます。
日本語を一定のレベルまで学んだ上で日本に来る外国人は日本に来て現場の仕事に就いても問題を起こすことはほとんどありません。それは日本語学習の困難さを乗り越えて日本語能力を身に付ける努力をしてきた方たちは真面目で勤勉な資質を持っているからに他なりません。
当センターは多くの企業と外国人技能実習生と関わってきた経験上、入国前に必要な日本語能力はN5相当ではなく、N4相当であると考えます。
また、育成就労制度で人材が求められている地域は主に地方です。
そして日本語学校は大都市に集中しています。
育成就労外国人は大都市で日本語を学び、地方で育成就労することになりエリアとしてのミスマッチが生じていると考えられます。
当センターとしては育成就労外国人は入国前に日本語能力N4相当を保持している方を制度の要件とすることがよいと考えますがいかがでしょうか?